2003年12月26日

結審にあたっての意見書

平成11年(ワ)第118号
原 告  加 藤  光 二 
被 告  社会福祉法人聖母の家
2003(平成15)年12月26日
津地方裁判所四日市支部 御中

原告訴訟代理人 弁護士 名 嶋  聰 郎

意 見 書
 
 先ず、裁判所に対し、4年8ヶ月に亘り審理を重ねて頂いたことに改めて御礼申し上げます。
 本件は障害者それも重度の知的障害者支援施設における懲戒解雇事件です。
しかし、被告において、日々繰り返される体罰に怯え、苦しむ障害者自身が、この法廷に立って意見を申し上げることができません。
この被告の「体罰支配」について私はかつて、被告法人を法に基づいて監督する三重県福祉部において意見を申し上げました。
 私は被告施設に横行する具体的な人権侵害事実を報告したうえで、県福祉部の幹部に「私は原告ら職員の真剣な訴えは、極めて具体的で本当のことだと確信している。皆さんはどうですか?」「嘘だと思う方があったら発言して下さい。」とお尋ねしましたが、県幹部からは、誰一人「それは信じられない」という発言はなく、調査するということでした。
 しかし、三重県は、何年経っても被告法人の自主性に期待するとして、法が要求する監督責任を果たしません。
その行政の不作為は今や違法の域にあると言うべきです。
被告は、本件訴訟において、代表理事を社長になぞらえ、管理職を「上長」と呼び私企業と同視しています。被告には、被告法人が年間4億もの費用殆どを我々市民、国民の税金で賄われ、障害者の支援を負託されている公的存在であるという認識に根本的に欠ける対応をしています。
本件懲戒解雇訴訟においては、懲戒解雇事由の存否が問題であり、原告はここで福祉論争を行う意図は全くありません。
しかし、事実認定も一定の規範評価を伴うものであり、本件が、私企業ではなく、今述べましたとおりの公的な性格の強い障害者施設を舞台とする事件であるという認識は欠かせません。被告法人、被告施設の設置目的を常に再確認しつつ、適切妥当な御判断を頂きたくお願いするものです。
この違法な行政の不作為による不条理を正すには司法の力しかありません。
以 上

投稿者 user1 : 2003年12月26日 09:39