2004年05月10日

裁判に関するQ&A

聖母の家利用者の親御さんや、聖母の家の現状を憂える関係者から複数の質問が寄せられました。重複している質問もありましたので、質問を整理した上で、Q&A方式でお答えします。

裁判はどうなっているのですか?

Q1 加藤さんの裁判の判決が間近であると聞いたのですが、裁判ではどのようなことが問題になったのですか?

A1 加藤さんは、解雇されてから9ヶ月ほどで裁判所から解雇に理由がないということで、聖母の家の職員としての仮の地位を認められました。ところが、理事会が復職を認めないため、本訴で争われ、04年5月28日に第一審判決が出されました。ところが第一審は、仮処分と全く逆に、仮処分では信用できないとしていた聖母の家の主張を鵜呑みにし、解雇有効の判決でした。
そのため、加藤さんが名古屋高等裁判所に控訴し、05年6月7日に控訴審判決が言い渡されることになっています。
懲戒解雇事件ですから、当然、加藤さんに懲戒解雇事由があったかどうかが問題になります。しかし今回の裁判では、聖母の家において利用者に対する人権侵害があったかどうかも重要な争点でした。
それは加藤さんが、解雇は聖母に家における人権侵害を問題にしたことを嫌悪された結果であると主張し、裁判所に具体的な証拠を多数提出しているためです。大きな争点でありますので、裁判所は何らかの判断を示すと思います。
加藤さんを敗訴させた第一審の津地裁四日市支部でも、人権侵害について「過去にあったかどうかはさておき、本件懲戒解雇当時、いまだ直ちにこれを認めるに足りる証拠はない」として、否定し切れませんでした。
又、裁判所は、仮処分裁判の決定では、現理事長の言っていることが信用できないと認定しました。本訴の中でも理事会は、私たちの組合員であったYさん名義の文書を偽造したこと(何重もの証拠から明らかです)をはじめ多くの嘘が明らかになりました。この点についても裁判所の判断が示されると思います。

聖母の家で体罰・人権侵害はあるのですか? 

Q2 私の子どもも、帰省した時に身体に青痣がある時があります。職員の方にお聞きすると、他の利用者の方とけんかしたという答でした。職員から体罰を受けたとは断定できないのですが、聖母の家において職員による利用者に対する人権侵害はあるのですか?

A2 はい、あります。今回、裁判で聖母の家における人権侵害について、年表にして整理しましたが、体罰・人権侵害は、日常的に連綿と続いており、その程度もひどく、改めて、その重大性が浮き彫りになりました。
そして、体罰・人権侵害に一貫して反対し、改善を求めてきた私たちが黙ってしまったらどうなっていくだろうと考え、改めて恐ろしくなります。
私たちの責任は重大であると思っています。

Q3 具体的にどのような事実がありますか

A3 先ず、毎日の生活の中で利用者に対して罵詈雑言・言葉の暴力が繰り返されています。
本来楽しい筈の食事において、職員は利用者の頭ごなしに「やくざのような口調」で、「食事をぬくか!」等と怒鳴っています。あまりにひどいのでテープに録音しましたが、聞くだけで自分が怒鳴られている気がして、これでは食事も喉も通らないのではないかと思います。又、職員が入浴中の利用者に対して何度も「アホ呼ばわり」しています。
このように日常生活の中で四六時中怒鳴られていたら、人間としての尊厳をどれだけ傷付けられているか、自らに置き換えたら、たまらない、ストレスもたまるだろうなと、怒りを通り越してやりきれない気持ちになりました。
又、裁判の過程で証拠上明らかになった中には、利用者の身体中に痣があったり、
適切な水分補給を行わない為、自ら床に放尿して飲まざるを得ない状況に追い込まれている利用者の方を見ました。そして、このようなことが特別なことでないことは、聖母の家で職員が宿直時に記録することになっている「宿直日誌」に繰り返し記録されていることからも明らかです。
そしてこの宿直日誌には、大便の浮いたトイレ便器の水を飲まざるを得ない状況にまで追い込まれていることまで記録されています。このような状況を放置している施設管理者の責任は重大であると言わざるを得ません。
その他にも代表的な例はこのホームページの中に書いてあります。

Q4 聖母の家管理者からは、加藤さんたちは人権侵害を裁判に利用している。裁判の中でいうのではなく、直接言って来ればよいのに、と言われたこともあります。この点についてはどうですか?

A4 私たちは利用者の体罰・人権侵害の根絶を目指し、内部で処遇改善に向けてねばり強く努力し、発言してきました。しかし、歴代の施設管理者たちには、私たちの意見を聞く耳がありませんでした。
又、そもそも加藤さんは、聖母の家の中で、利用者に対する体罰・人権侵害をなくすために発言してきたことで、管理者に嫌悪され解雇されたのです。
内部で改善を目指して活動してきた私たちですが、それも限界に達し、そして今のままでは何か重大な「事故」が起きかねないと思いました。加藤さんの解雇が認められてしまえば、今より悪くなり、そして「事故」が起きるのは火を見るより明らかです。「事故」が起これば、その利用者が傷つくことが最も重大なことですが、その上、聖母の家が閉鎖に追い込まれる可能性も出てきます。雪印乳業の例でも分かるように、「事故」が起きてからでは遅いのです。

寄付金問題はどうなっているのですか? 

Q5 私も聖母の家から寄付を要請され、子どもが世話になっている立場上、寄付をせざるをえませんでした。その後、三重県からアンケートがあって、返却してもらえるものなら、返却して欲しいと考え、その旨アンケートにも書きましたが、未だ返してもらっていません。30万円は私たちにとって大金です。寄付金問題はどうなっているのですか?

A5 三重県の情報公開文書によれば、寄付した方の9名もの方が返却希望をしています。私たちはこのことが、本来任意であるべきである寄付が任意でなかったことを証明していると思います。
三重県は、この件について一度全部の親に返却するようにとの指導を行っています。私たちはこの指導は適切であったと思います。ところが、理事会はその三重県の指導に従っていません。それどころか、理事長は平成15年12月2日の三重県の指導監査における聞き取りにおいて、(返却希望者が)「9名が12、3名になるかもしれない。それもまたおかしい…」「保護者会の会長になりたくてなれなかった人があり、その人たちがこの問題を取上げている。」と、自らの責任を棚上げにして、返却を希望する方たちを誹謗する回答をしています。
現在の聖母の家管理者の管理運営に不適切な点があることはこのことからも明らかです。

福祉施設の仕事とは?

Q6 聖母の家管理者の方は、あなた方が、「人権、人権」とだけ言っていると話しています。あなた方は、福祉施設の仕事の目標で何が重要だと考えているのですか?

A6 ある職員は、私たちの組合に対して「あんた達は利用者の人権、人権って言うけど、職員の人権をどうしてくれるんだ」と開き直って言ってきています。
しかし、私たちは「利用者の人権を!職員の権利を!」をスローガンとして利用者の人権と職員の権利を組合活動の両輪としてきました。職員の人権を無視したことなど一度もありません。
但し、聖母の家利用者は、知的障害というハンディを負っており、特に重度と言われる人たちは、自分の気持ちを言語で表現することが苦手です。その上、施設という閉鎖された世界では、職員の立場が優先されがちです。そのような中で、利用者の人権については、声を大にして言ってきました。
施設利用者の人権を守り代弁することは、職員の義務であり、言いすぎるということはありません。
何故なら、利用者の人権を守ることこそ私たちの仕事だからです。   
聖母の家が、「利用者が主人公の施設」になるよう、私たちは頑張ります。
気のついたことがありましたら、組合員に声をかけるか、連絡をお願いします。
聖母の家の利用者のために協力して頑張りましょう。

 連絡先は、ホームページ左下にも記してありますが、
  メールアドレス:human@ipost.ne.jp
  住所      :三重県四日市市波木町398の1 聖母の家労組(分会)

投稿者 user1 : 2004年05月10日 16:40